不用品回収の業者選びで、口コミや料金より先に見るべきものがあります。それが「許可」です。家庭から出た不用品を有料で回収・運搬するには、市区町村の許可が要る——この一点を確認できれば、大きなトラブルの入口はかなり狭められます。ここでは、その法的な仕組みと、実際にどこをどう見れば確認できるのかを、手順の形で整理します。
結論:家庭の不用品は「一般廃棄物」で、市区町村の許可が要る
廃棄物は法律上、事業活動に伴って生じる「産業廃棄物」と、それ以外の「一般廃棄物」に分けられます。家庭から出る家具・寝具・家電・雑貨などは、原則として一般廃棄物です。
そして、一般廃棄物の収集運搬を業として行うには、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)第7条第1項にもとづく市区町村長の許可が必要です。環境省が公開している通知でも、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第一三七号)第七条第一項の規定に基づく一般廃棄物処理業の許可が必要である」と示されています(環境省一般廃棄物処理業の許可について)。
環境省の廃棄物の処分に「無許可」の回収業者を利用しないでください!では、消費者向けに次のように説明されています。
ご家庭の廃棄物を回収するには、市区町村の「一般廃棄物処理業許可」や委託が必要です。
つまり、家庭の不用品を回収できるのは、その市区町村の許可を受けた事業者か、市区町村から委託を受けた事業者に限られます。
「産業廃棄物の許可」「古物商許可」では家庭ごみを回収できない
ここは誤解されやすいところです。同じ環境省のページには、こう書かれています。
「産業廃棄物処理業の許可」や「古物商の許可」では回収できません。産業廃棄物処理業許可は、工場や企業の廃棄物を処理するための許可です。古物商の許可は、中古品等の売買を行うための許可です。
3つの許可の役割を並べると、違いがはっきりします。
| 許可の名称 | 出すところ | できること | 家庭の不用品の回収 |
|---|---|---|---|
| 一般廃棄物収集運搬業許可 | 市区町村 | 家庭から出た廃棄物の収集・運搬 | できる |
| 産業廃棄物収集運搬業許可 | 都道府県・政令市 | 事業活動から生じた産業廃棄物の収集・運搬 | できない |
| 古物商許可 | 都道府県公安委員会 | 中古品の売買(買取・販売) | 廃棄物としては回収できない |
広告に「産業廃棄物収集運搬業許可取得済」「古物商許可番号◯◯」とだけ書かれている場合、その表示は家庭ごみを回収できる裏づけにはなりません。表示そのものが虚偽とは限りませんが、確認すべき許可とは別の許可である点に注意してください。
ただし「買取」なら古物商許可でよい
整理しておくと、次のように分かれます。
- 廃棄物として引き取ってもらう(費用を払って処分してもらう)→ 一般廃棄物収集運搬業の許可が必要
- 有価物として買い取ってもらう(お金を受け取って売る)→ 古物商許可の世界
まだ使える家具や家電を、リユース目的で買い取ってもらうのは古物営業です。この場合はお金の流れが逆になるので、「見積もりの結果、買い取れないものが出たらどうなるか」を最初に確認しておくと安全です。買取のつもりが、買い取れなかった分の処分費を請求される、という形でトラブルになることがあります。
5分でできる確認手順
手順1:自治体サイトで許可業者の一覧を探す(2分)
検索窓に「(市区町村名) 一般廃棄物収集運搬業 許可業者」と入れて検索します。多くの自治体が、清掃・廃棄物担当課のページに許可業者の一覧(PDFや一覧表)を掲載しています。見つからないときは、自治体の代表電話から廃棄物担当課につないでもらい、「一般廃棄物収集運搬業の許可業者一覧はありますか」と聞けば案内してもらえます。
国民生活センターの消費者トラブルFAQ【不用品回収】どこに頼めばよいか知りたい。でも、一般家庭の廃棄物を回収するには市区町村が出す一般廃棄物処理業の許可が必要であること、市区町村以外に依頼する場合は自治体のホームページや窓口で許可業者を確認することが案内されています。
手順2:依頼先の社名が一覧にあるか照合する(1分)
会社名は、屋号とサービス名が違うことがあります。一覧に見当たらないときは、「御社は◯◯市の一般廃棄物収集運搬業の許可をお持ちですか。許可番号を教えてください」と直接聞いてください。許可は自治体ごとなので、隣の市の許可では、こちらの市の家庭ごみは回収できません。
手順3:許可がない場合の道筋を確認する(2分)
許可がない事業者がすべて役に立たないわけではありません。次のどれに当たるかを聞けば整理できます。
- 市区町村から委託を受けて収集している
- 許可を持つ事業者と提携し、実際の収集運搬はその事業者が行う
- 買取(古物営業)として引き取る
- 上記のいずれでもない
最後のケースであれば、依頼は見送るのが無難です。無許可の回収については、不法投棄や有害物質の放出、保管中の発火といった問題が環境省のページで指摘されています。
許可を確認しても、料金は別の話
許可があることと、料金が妥当であることは別問題です。許可業者であっても、見積もりの取り方が雑なら金額のトラブルは起こり得ます。許可の確認と合わせて、書面の見積もりを取り、追加料金の条件まで押さえてください。何を聞けばよいかは不用品回収の見積もりで必ず確認したい10のことにまとめています。
また、そもそも許可の話が出てこない相手——住宅街を巡回するトラックやポスティングチラシについては、「無料回収」の軽トラック・チラシはなぜ危険なのかで、実際に報告されている手口を整理しました。
そもそも許可の確認が要らないルート
ここまでの照合作業が面倒に感じるなら、許可の有無を調べなくて済む出し方を選ぶという考え方もあります。
市区町村の粗大ごみ収集は、収集の主体が自治体そのもの(または自治体が委託した事業者)なので、依頼する側が許可を確かめる必要がありません。同じ理由で、クリーンセンター等の処理施設へ自分で持ち込む自己搬入も、相手が自治体の施設である以上、許可の照合は不要です。予約の要否や受け入れ品目は自治体ごとに違うので、公式サイトで条件だけ確認してください。
もう一つ、この記事の前半で触れた買取も、許可の種類が変わるルートです。廃棄物として引き取ってもらうのではなく有価物として売る形なので、確認すべきは一般廃棄物の許可ではなく古物商許可のほうになります。ただし「買い取れなかった分をどう扱うか」で廃棄物の話に戻るため、査定前にその一点だけ聞いておくのが安全です。
量が多くて一度に出し切れないときは、これらと業者依頼を組み合わせるのが現実的です。進め方は引っ越し前の不用品整理をスムーズに進める手順を参考にしてください。
まとめ
不用品回収の業者を見分ける出発点は、その市区町村の一般廃棄物収集運搬業の許可を受けているかを、自治体のサイトか窓口で照合することです。産業廃棄物の許可や古物商許可は目的が違い、家庭ごみの回収を裏づけるものではありません。買取であれば古物商許可の世界になる、という切り分けも覚えておくと、広告表示に惑わされにくくなります。調べる手間は数分程度。依頼前のこのひと手間が、あとの費用と手間を左右します。