古いノートパソコンが押し入れに眠っている、という方は多いのではないでしょうか。パソコンは自治体の粗大ごみとして出せない自治体が多い一方で、条件を満たせば費用をかけずに処分できるルートが用意されています。 ここでは無料で出せる方法から順に説明し、あわせて処分前に欠かせないデータ消去について整理します。
パソコンは家電リサイクル法の対象ではない
エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機の4品目は家電リサイクル法の対象ですが、パソコンは含まれません。パソコンは資源有効利用促進法にもとづく仕組みで、メーカー自身が回収・リサイクルを行います。経済産業省の家電リサイクル・パソコンリサイクル・小型二次電池リサイクルのページでも、パソコンは同法にもとづく回収・リサイクルが実施されていると説明されています。
家電4品目のほうの扱いはエアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機は粗大ごみに出せないにまとめています。
PCリサイクルマークがあれば追加費用なしでメーカーが回収する
パソコン本体やディスプレイに、丸みのある「PCリサイクル」のマークが貼られていないか確認してください。パソコン3R推進協会のPCリサイクルマークの説明によると、このマークは2003年(平成15年)10月以降に国内で販売された個人用パソコンに付いており、マーク付きの製品は購入時にリサイクル費用が含まれているため、処分時に新たな料金負担は生じません。
一方、2003年9月までに販売された製品にはマークがなく、この場合は利用者が回収再資源化料金を負担することになります。
申し込みは製品のメーカーに対して行い、回収は輸送業者が集荷する形が基本です。手順の概要はパソコン3R推進協会の回収方法のページで確認できます。
メーカーが分からない・自作パソコンの場合
倒産などでメーカーが存在しない製品や、自作パソコンは各メーカーの回収スキームに乗りません。この場合は後述の自治体回収や認定事業者のルートを使うことになります。個別の扱いはパソコン3R推進協会の回収Q&Aに整理されています。
自治体の小型家電回収ボックスに入れる
もうひとつの無償ルートが、小型家電リサイクル法(使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律)にもとづく回収です。環境省の小型家電リサイクル関連のページによると、この法律は平成25年4月1日に施行されています。
小型家電リサイクル協会の制度の説明では、携帯電話、デジタルカメラ、パソコン、プリンター、電子レンジ、扇風機、掃除機、ゲーム機など28分類のほとんどの家電製品が対象とされ、テレビ・エアコン・冷蔵庫・冷凍庫・洗濯機・衣類乾燥機の家電4品目は対象外と明記されています。
市区町村の公共施設やスーパー、家電量販店に設置された回収ボックスに投入する方式が一般的です。ただし投入口のサイズが決まっており、ノートパソコンは入るがデスクトップ本体は入らないといったことが起こります。対象品目・ボックスの設置場所・投入口の大きさは自治体ごとに違うため、お住まいの自治体の公式ページで確認してください。
国の認定を受けた事業者の宅配便回収
自治体の回収ボックスに入らない大きさのものや、複数台をまとめて出したい場合は、宅配便で回収する事業者を使う方法があります。ここで確認したいのが「認定事業者かどうか」です。
小型家電リサイクル協会の認定事業者の説明によれば、認定事業者とは環境省・経済産業省の実地検査や定期的な立入検査を受けて認定された、回収から再資源化までの工程が確認されている事業者を指します。認定事業者の一覧は環境省の小型家電リサイクル関連のページからたどれます。自治体が特定の認定事業者と提携し、住民向けに案内しているケースもあります。
無料をうたう回収でも、認定を受けていない事業者は制度外です。依頼先の確認方法は不用品回収業者の許可を自分で確かめる方法を参考にしてください。
処分の前に、データ消去だけは自分でやる
ここは省略できないところです。「初期化した」「ゴミ箱を空にした」だけでは、データが読み出せる状態で残っていることがあります。
パソコン3R推進協会のデータ消去についての説明では、消去方法として専用ソフトウェアによる消去、磁気などによる機械的・物理的な除去、記憶装置そのものの物理的破壊の3つが挙げられ、ソフトウェアによる消去後もデータが残存し復旧ツールで読み出せる場合があること、そしてデータ消去は利用者自身の責任で実施するものであることが明記されています。
現実的な進め方は次のとおりです。
- 動くパソコンなら:データ消去用ソフトでドライブ全体を上書きする。メーカーの回収に出す場合も、消去は自分で済ませてから送る。
- 起動しないパソコンなら:本体からストレージ(HDD/SSD)を取り出し、物理的に破壊する。取り出しが難しければ、消去や破壊を証明書付きで行うサービスを検討する。
- クラウドと紐づいたアカウント:サインアウトと端末の登録解除を先に行う。
回収業者にデータ消去を任せる場合は、方法(ソフト消去か物理破壊か)と証明書の有無を事前に確認してください。依頼時の確認事項は見積もり前に確認しておきたいチェックリストにもまとめています。
まだ動くパソコンなら、買取・下取りという出口もある
ここまでは回収に出す話でしたが、電源が入って普通に使えるパソコンは、処分ではなく売却という形にできる場合があります。中古パソコンを扱うリサイクルショップや専門の買取業者、メーカー・量販店が期間限定で行う下取りプログラム、フリマアプリなどが窓口です。世代の新しいCPUを積んでいる、メモリやストレージに余裕がある、といった機種ほど値が付きやすい傾向があります。逆に、OSのサポートが終わった世代のものやバッテリーが膨らんだノートは、買取の対象外とされたり部品取り扱いになったりします。
注意したいのは、売る場合でも前節の原則は変わらないという点です。パソコン3R推進協会が明記しているとおり、データ消去は利用者自身の責任で行うものです。査定・輸送・保管のあいだ、そのパソコンはデータが載ったまま他人の手に渡ります。
- 引き渡す前に、自分でドライブ全体を上書き消去しておく。ストレージを取り外せる機種なら、抜いて手元に残したうえで本体だけを売るという選択もあります
- 「データ消去に対応します」とある場合も任せきりにせず、方法(ソフト消去か物理破壊か)と証明書が出るかを、引き渡し前に確認しておく
- 店頭の下取りに持ち込むときも、その場で初期化すれば足りるとは限りません。消去は自宅で終えてから持っていくほうが安心です
値が付かなかったときに手元に置いたままにならないよう、メーカー回収や自治体の回収ボックスといった無償ルートも並行して調べておくと、そのまま処分に移れます。
ディスプレイ・プリンタ・スマホは扱いが違う
| 品目 | 主なルート |
|---|---|
| パソコン本体(デスクトップ/ノート) | メーカー回収、自治体の小型家電回収、認定事業者 |
| ディスプレイ | パソコン3R推進協会のQ&Aによれば、ブラウン管(CRT)およびフラットディスプレイが回収対象 |
| キーボード・マウスなど付属品 | 本体と一緒なら本体と同じ扱い。単独では対象外 |
| プリンタ | パソコンの回収スキームではなく、小型家電リサイクル法の対象品目。自治体の回収方法を確認 |
| スマートフォン・携帯電話 | 小型家電回収ボックスのほか、通信事業者の店頭回収が使えることが多い |
いずれも、データが残る機器(複合機の内蔵メモリ、スマホ本体)は初期化とアカウント解除を済ませてから出してください。
まとめ
パソコンは家電リサイクル法ではなく資源有効利用促進法の対象で、PCリサイクルマークが付いていればメーカーが追加費用なしで回収します。マークがない、メーカーが存在しない、といった場合は自治体の小型家電回収ボックスや国の認定事業者の宅配便回収が選択肢になります。どのルートを選ぶにしても、データ消去は利用者の責任です。処分費用を抑える一般的な考え方は不用品回収の費用を抑える具体的な方法を、扱いの難しい品目については回収を断られやすいもの一覧をあわせてご確認ください。